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管理体制 読了 約8分 民泊オーナー・運営代行法人さま向け 公開 /更新

防火管理者は民泊に必要?
選任・届出・講習の流れと、誰がなるか

この記事でわかること

「民泊にも防火管理者って要るの?」——よく聞かれる質問です。結論からいうと、必要かどうかは収容人員などの“規模”で分かれます。この記事では、要否を判断する考え方を図で示したうえで、必要になった場合の選任・届出・講習(甲種・乙種)の流れと、誰が防火管理者になれるのかまでまとめます。要否は物件ごとに個別に判断されます。

消火器や誘導灯のような「モノ」の話とちがって、防火管理者は「人」と「届出」に関わるテーマです。設備を整えただけでは終わらず、誰かを選んで、講習を受けてもらい、消防署へ届け出る——という手続きが付いてきます。相談を受けていても、設備の話は進んでいるのに防火管理者だけ手つかず、というオーナーが目立つ分野です。

ただ、防火管理者はすべての民泊に一律で必要なわけではありません。要否は、その建物の用途と収容人員などの規模によって変わります。まず「自分の物件は対象になりうるのか」をつかむのが先です。そもそも点検・報告の対象なのかが曖昧な方は、先に民泊の消防・防災 完全ガイドで全体像を押さえておくと、この記事の前提がつかみやすくなります。

1防火管理者とは「火災を防ぐ責任者」

防火管理者とは、ざっくりいえばその建物で火災を防ぐための責任者です。消火器や誘導灯がそろっているか、避難経路がふさがっていないか、いざというときの動き方は決まっているか——こうした日々の「防火の管理」を担う人を、あらかじめ決めておく、という仕組みです。

ポイントは、これが「設備」ではなく「人と運用」の話だということです。立派な設備をそろえても、それを点検したり、避難の段取りを決めたりする人がいなければ、いざというときに機能しません。防火管理者は、その人の側の備えを受け持つ役割です。

「設備=モノ」「防火管理者=人」と覚えると整理できます。両方そろって、はじめて「火災に備えている」状態になります。どちらが必要かは、いずれも物件の用途・規模しだいです。

2必要かどうかは「規模」で分かれる

いちばん知りたいのは「結局、うちには要るの?」でしょう。防火管理者の要否は、建物の用途と「収容人員」を主な物差しとして判断されます。収容人員とは、その施設に出入りしうる人の数の目安で、宿泊者だけでなく従業員なども含めて算定される考え方です。

そして、宿泊をともなう民泊のような施設では、収容人員が一定の人数以上になると防火管理者の選任が求められるのが基本的な考え方です。逆に、ごく小規模で収容人員が少なければ、選任は求められません。要は、「人がどれだけ収容できる規模か」で線引きが変わるということです。

図解 ① | 防火管理者の要否は「規模(収容人員など)」で分かれる
用途と「収容人員」を確認 出入りしうる人数の目安 規模で分かれる 収容人員が一定以上 選任が求められやすい 選任 → 講習 → 届出 → 消防計画の作成・運用へ ごく小規模・人数が少ない 求められないことも ただし設備・点検の要否は これとは別に判断される ※ あくまで考え方の整理です。要否・基準は建物の用途や規模により個別に判断されます。
防火管理者の要否は、用途と収容人員などの規模で分かれます。収容人員が一定以上だと選任が求められやすく、ごく小規模なら求められないことも。実際の基準・要否は物件ごとに個別判断です。

では「一定以上」とは具体的に何人なのか。消防法令上の目安となる人数は、建物の区分によって次のように分かれます。

防火管理者の選任が必要になる「収容人員」の目安
建物の区分選任が必要になる収容人員
民泊=(5)項イ
旅館・ホテル・宿泊所など(特定防火対象物)
30人以上
非特定防火対象物
事務所・共同住宅など
50人以上

家主不在型の民泊は、原則として(5)項イ(旅館・ホテルと同じ区分)として扱われるため、収容人員30人以上で防火管理者の選任が必要になるのが基本です。ここで効いてくるのが、収容人員が「宿泊定員+従業者」で算定されるという点です。戸建て一棟貸しやワンルームの民泊は定員が数名〜十数名にとどまることが多く、30人には届かない=選任不要となるケースが大半です。一方で、客室が多い一棟まるごとの施設やゲストハウス(ドミトリー)では30人を超えることがあり、その場合は選任が必要になります。

「収容人員=定員」ではありません。算定の考え方は専門的で、自己流で数えると線引きを間違えやすい部分です。要否の判断には用途区分の確認も絡むため、自分の物件がどの区分かを押さえておくことが起点になります。区分の考え方はあなたの民泊は「特定防火対象物」?で確認できます。

ただし、この線引きを素人感覚で「うちは小さいから大丈夫」と決めつけないこと。収容人員は宿泊定員だけでなく従業者も足して数えますし、用途区分の判定も絡みます。ドミトリーの2段ベッドを増やして定員が30人を超えていた、という見落としは珍しくありません。最初の見極めだけは、資格者に見てもらったほうが確実です。JSIでは、この入口の判断からお引き受けします。

3誰が防火管理者になれる?

「必要そうだ」となったら、次は「で、誰がなるの?」です。防火管理者には、その建物の防火管理を実際に進められる立場の人を選びます。民泊なら、候補はだいたい次の顔ぶれです。

  • オーナー(所有者・経営者)本人:自分で物件を運営している場合は、本人が選ばれることもあります。
  • 運営代行法人の担当者:管理を委託している場合は、その法人側で防火管理を担える立場の人が候補になります。
  • 現地で管理を担える人:火災時に必要な対応を実際に進められる立場であることが重視されます。

ただ、「はい、なります」と手を挙げれば終わり、ではありません。防火管理者になるには、原則として所定の講習を受けて資格を得る必要があります。その資格に、2つの種類があります。

4講習には「甲種」と「乙種」がある

防火管理者の講習には、甲種と乙種の2つがあります。より大きな規模の建物まで担えるのが甲種、小規模な建物向けが乙種です。どちらが必要かは、対象となる建物の用途・規模で決まります。迷ったら甲種を受けておけば、乙種でよい建物も担えます。

甲種

甲種防火管理講習

位置づけ:より大きな規模の建物まで担える資格。講習はおおむね2日間にわたることが多く、消防計画の作り方や、火災予防・避難の知識を幅広く学びます。規模の大きい施設や、多くの人を収容する建物では、こちらが求められます。学ぶ範囲が広い分、まる2日の時間を空ける段取りが要ります。

乙種

乙種防火管理講習

位置づけ:小規模な建物向けの資格。講習はおおむね1日程度で、甲種より学ぶ範囲を絞った内容になります。比較的小さな規模の施設で求められることがあります。ただし「うちは小さいから乙種でいい」と自己判断しないこと。どちらが該当するかは用途・規模から個別に判断されます。

講習は「受けたい日にすぐ」とはいきません。講習は実施の日程が決まっており、定員や開催地の都合で、希望のタイミングに受けられないこともあります。開業のスケジュールから逆算して、早めに段取りしておかないと、選任・届出が間に合わない事態になりかねません。
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5選任・届出・運用の流れ(と、つまずきどころ)

防火管理者が必要になった場合、おおまかな流れは次の5段階です。一つひとつは難しくなさそうに見えますが、各ステップに止まりやすい箇所があります。

1

講習を受け、資格を得る

用途・規模に応じて甲種または乙種の講習を受けます。日程が限られるので、開業時期から逆算して予約しておきます。

2

防火管理者を選任する

建物の防火管理を実際に担える人を選びます。家主不在型では「現地で対応できる人が見つからない」ことが起こりがちです。

3

消防計画を作成する

火災予防や避難の段取りをまとめた「消防計画」を作ります。中身は建物ごとに違い、ひな型の丸写しでは実態に合わないことも。

4

管轄消防へ届け出る

選任した旨や消防計画を、管轄の消防署へ届け出ます。様式や添付の不備で出し直しになることがあるので、出す前に管轄の様式を確認します。

5

日々、防火管理を運用する

避難経路の確保、設備の状態確認など、計画にそった日常管理を続けます。「選任して終わり」ではない点が見落とされがちです。

図解 ② | 防火管理者の主な役割と、起こりやすいつまずき
防火管理者が担う役割 起こりやすいつまずき 消防計画を作る・見直す ひな型の丸写しだと実態に合わない 避難経路を確保する 日常運用の中でじわじわ崩れる 設備の状態を把握する 点検業者との連携・知識が要る 届出・更新を管理する 期日や様式の管理が抜けやすい
左が防火管理者の主な役割、右がそれぞれで起こりやすいつまずき。どれも「選任すれば自動で回る」ものではなく、知識と継続した管理が前提になります。アンバーは期日まわりの注意点です。

家主不在型は、ここでつまずきやすい

とくに家主不在型の民泊では、「現地で防火管理を担える人をどう確保するか」が悩みの種になりがちです。オーナーが遠方に住んでいたり、複数物件を持っていたりすると、建物一つひとつに目を行き届かせるのは現実的に無理があります。誰を選任し、どう日常管理を回すのか——ここが空白のままだと、立入検査で「防火管理者は誰ですか」と聞かれた時に答えられません。

6選任は「ゴール」ではなく「スタート」

よくある誤解が、「講習を受けて選任すれば、もう終わり」というものです。実際にはそこからが本番で、防火管理者には消防計画にそった日常の管理が続いていきます。避難経路の確保、設備の状態確認、必要に応じた見直し——これを続けないと、選任届は出ていても中身が空になります。

さらに、こうした防火管理は設備の点検・報告とも地続きです。防火管理者が設備の状態を把握しようにも、その前提となる点検が回っていなければ判断のしようがありません。設備の点検・報告がどう絡むのかは、消防設備の点検は年に何回?で確認できます。

  • 消防計画は作って終わりではない:客室を増やす、定員を変えるなど使い方が変われば、計画も見直します。
  • 設備の点検と一体で回す:防火管理は、点検・報告の流れと切り離せません。バラバラだと抜けが生まれます。
  • 物件が増えるほど重くなる:複数物件をまたぐと、誰が何をどこまで見ているかが曖昧になりやすい部分です。
専門家からの補足防火管理者まわりは、「要否の判断」「資格の取得」「届出」「日常運用」がそれぞれ別の作業に見えて、実は一続きです。どこか1つが抜けると全体が崩れるため、同じ目で一気通貫に見る体制があるかどうかが、つまずきを防げるかの分かれ目になります。設備の選び方や全体の段取りは完全ガイドでもまとめています。

7かかる手間と時間の目安

「自分でやればタダ」と思いがちですが、防火管理者まわりはお金より「時間と段取り」のコストが重いのが実情です。目安を並べると次のようになります(金額や日数は一般的なイメージで、地域・状況により変わります)。

ステップかかるものつまずきやすさ
講習の予約・受講受講料+1〜2日の時間日程が限られ、希望日に受けにくい
防火管理者の選任担える人の確保家主不在型では人選が難航しやすい
消防計画の作成建物に合わせた作り込みひな型流用だと実態に合わない
管轄消防への届出様式・添付の準備不備で出し直しになることも
日常の防火管理継続的な確認・見直し「選任後の放置」で形骸化しやすい

こうして並べると、「お金がかかる」というより「見極めて、手順どおりに段取りして、続ける」ことそのものが負担だと分かります。とくに講習日程の確保、家主不在型での人選、消防計画の作り込みの3つは、慣れていないと想像以上に時間を食います。費用の全体像は民泊の消防・防災にかかる費用でも整理しています。

8よくある質問

Qうちの民泊にも、防火管理者は必ず必要ですか?
必ずしも一律ではありません。防火管理者の要否は、建物の用途と収容人員などの規模によって個別に判断されます。収容人員が一定以上だと選任が求められやすく、ごく小規模なら求められないこともあります。まずは自分の物件が対象になりうるかを確かめるのが出発点です。無料の診断で目安を確認できます(確定判断ではありません)。
Q甲種と乙種、どちらの講習を受ければいいですか?
どちらが該当するかは、対象となる建物の用途・規模によって変わります。一般に、より大きな規模まで担えるのが甲種、小規模向けが乙種という位置づけです。「うちは小さいから乙種で十分」と自己判断すると、後で取り違えに気づくこともあるため、用途区分の確認とあわせて見極めるのが安全です。区分の考え方は「特定防火対象物」?の記事で確認できます。
Q家主不在型ですが、誰を防火管理者にすればいいですか?
防火管理を実際に担える立場の人が選ばれます。家主不在型では、オーナー本人が遠方の場合に「現地で対応できる人をどう確保するか」がよくある悩みです。運営代行法人の担当者などが候補になることもありますが、誰がどこまで責任を持つかは整理が必要です。人選から運用体制づくりまで含めて、専門家に相談して組み立てるのが現実的です。
Q選任して届け出れば、あとはやることはないですか?
いいえ、選任はスタートです。防火管理者には、消防計画にそった日常の防火管理(避難経路の確保、設備の状態確認、必要に応じた計画の見直しなど)が続きます。「選任して放置」だと形だけになり、いざというときに機能しません。設備の点検・報告とも一体で回す必要があるため、継続できる体制づくりがカギになります。
Q届出はJSIに代わりにやってもらえますか?
選任の見極めから消防計画の作成、必要な手続きまで、JSIがまるごとサポートします。申請・届出については、行政書士と連携してサポートする体制をとっていますので、書類の様式や期日でつまずく心配を減らせます。オーナーさまは、何から手をつければいいか分からない状態のままでも、まずはご相談いただければ大丈夫です。

9判断も段取りも、まるごとJSIに

ここまで見てきたとおり、防火管理者まわりは「要るか要らないかの判断」からして専門的で、必要となれば講習・選任・消防計画・届出・日常運用と、地味な手順が一続きで待っています。どれも一人で抱えると、時間も神経も削られます。

JSIは、こうした判断と段取りを、まるごとお引き受けします。設備の見極めから点検・報告までと一体で見るので、防火管理だけが浮いて抜ける、ということが起きにくくなります。これから開業する方は、民泊開業前の消防チェックリストで最初の段取りを確認しておくと、後から慌てずに済みます。

だからJSIは「まるごと」JSIは、要否の見極め → 設備の設置 → 防火管理・消防計画づくり → 点検 → 管轄消防への報告までを一社で完結させ、その後の期限管理まで継続して担います。複数物件もまとめてお引き受けするので、オーナーさまは基本的に何もしなくて大丈夫です(申請・届出は行政書士と連携してサポートします)。「防火管理者って結局どうすれば?」のモヤモヤごと、まるごとお任せください。

根拠にした一次資料

この記事の数値・条文名は、下記の法令原文・通知・統計を実際に開いて確認したものです(最終確認 2026年9月27日)。記載のない数字は載せていません。

  1. 消防法(e-Gov 法令検索)
    第8条第1項(防火管理者を定め、消防計画の作成、消火・通報・避難の訓練、消防用設備等の点検整備、収容人員の管理等の業務を行わせる)/同条第2項(選任・解任は遅滞なく所轄消防長または消防署長に届け出る)/第44条第8号(第8条第2項の届出を怠った者は30万円以下の罰金または拘留)
  2. 消防法施行令(e-Gov 法令検索)
    第1条の2第3項第1号ロ((5)項イ等は収容人員30人以上で防火管理者)/第3条第1項第1号・第2号(甲種と乙種の区分。乙種でよいのは、(5)項イ等で延べ面積300㎡未満、その他は500㎡未満のもの)/同条第2項(管理的・監督的な地位にある者のいずれもが遠隔の地に勤務している等の場合の特例)
  3. 消防法施行規則(e-Gov 法令検索)
    第1条の3第1項(収容人員の算定式=30人の数え方)

法令・通知・告示は改正されます。リンク先の最新版と、管轄消防署の運用をあわせてご確認ください。JSIは消防設備士の有資格者が運営していますが、本ブロックは出典の提示であり、個別物件についての確定的な法的判断ではありません。

本記事は一般的な情報提供で、個別の物件についての確定的な法的判断を保証するものではありません。防火管理者の要否や講習の種別、収容人員の算定、届出の要否・内容は、建物の用途・規模によって個別に異なります。正確な情報は管轄の消防署または専門家にご確認ください。
民泊の防災を、まるごと。

「防火管理者、要る?」から、はじめましょう。

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